今日、書いておきたいこと

自分の人生を、少しずつ振り返りながら言葉にしています。

嫁いで、一番びっくりしたこと

「あっ、電球が切れた。また○○さんところに持って行かないとね」
「え? 電気屋さんに持って行くんですか?」

この家では、電球や蛍光灯が切れると、器具ごと電気屋さんに持ち込んで交換していたという。
壁についているものは、電気屋さんに来てもらっていたらしい。

ある日、トイレの電球が切れたとき、私は近所で電球を買い、自分で交換した。
その瞬間、義両親はまるで私が魔法でも使ったかのように目を丸くしていた。
その時少しだけ、嫁としての点数が上がったような気がした。

庭には高い柿の木があった。
毎年、たくさんの実がなるのに、誰も収穫しなかったという。
嫁いだその年、私は木に登って、すべての実を収穫した。

「一つだけ残しておいてね、鳥たちにお裾分けするから」
義母はそう言った。
「これまでも、十分お裾分けしたのでは?」
私は心の中で、意地悪くそうつぶやいた。

私の両親は、何でも自分たちで工夫してこなす人たちだった。
壊れたら直す、足りなければ作る──それが当たり前だった。

でも、この家では違った。
「人に頼む」ことが当たり前で、夫もどちらかと言えば、依頼心の強い人だった。

おかげで、嫁の私は思いのほか重宝された。